海外のお客様とも取引がある会社では、ホームページに英語や中国語のページを用意することが増えています。ところが、いざ運用を始めると、よく次のようなことが起きます。
- 日本語のページを直したのに、英語・中国語のページは古いままになっている
- 新しく作ったページが、日本語にしかない
- 自動翻訳の文章が不自然で、かえって信用を落としている
先日、貿易の仕事をされているお客様のホームページを、日本語・英語・中国語(簡体字)の3言語で作り替えました。全部で約30ページ、3言語で合わせて90ページ近くになります。この記事では、そのときに使った「1つの原稿から、3つの言語のページをまとめて作る」仕組みと、やってみて分かったことをまとめます。
ずれの原因は「原稿が3つあること」
内容がずれる原因はシンプルで、日本語・英語・中国語の原稿が、別々の場所にあることです。日本語のページを直した人が、英語と中国語のページも開いて同じところを直す。この「思い出して、探して、直す」作業を毎回きちんと続けるのは、正直なところ難しいと思います。
そこで、原稿の持ち方を変えました。1つの文章ごとに、日本語・英語・中国語を同じ場所に並べて書く形にしたのです。
1. 原稿に3つの言語を並べて書く
ページの見出しや本文を、次のように書きます。T(…) の中に、日本語・英語・中国語の順で並べるだけです。
T("会社概要", "Company Profile", "公司简介")
T("お見積りは無料です。お気軽にご相談ください。",
"Quotations are free of charge. Please feel free to contact us.",
"报价免费,欢迎随时咨询。")
こうしておくと、日本語を直すときには、すぐ隣にある英語と中国語が目に入ります。「英語も直さないと」と気づける場所に、必ず置いてある状態です。
2. そこから3つの言語のページをまとめて作る
原稿ができたら、プログラムを1回動かすだけで、日本語(/)・英語(/en/)・中国語(/zh/)の全部のページが作られます。ページの構成やリンク、写真は3言語で共通なので、「日本語にしかないページ」は仕組みのうえで起きません。

3. 作るたびに、自動で検査する
人の目だけに頼らないよう、ページを作るたびに、次のことを自動で調べるようにしました。
- 翻訳漏れ:英語・中国語のページに、日本語のひらがなが残っていないか(訳し忘れの目印になります)
- ページの欠け:どれかの言語だけページが足りない、ということがないか
- リンク切れ:存在しないページへのリンクがないか
- 画像の説明(代替テキスト)の付け忘れ
「ひらがなが残っていたら翻訳漏れ」という見分け方は単純ですが、とても役に立ちました。中国語は漢字が多く、日本語が混ざっていても見落としやすいからです。
4. 言語の切り替えで気をつけたこと
- すべてのページの上に、日本語・English・中文の切り替えを置く。今見ているページの、ほかの言語版へそのまま移れるようにします。
- ブラウザの言語に合わせた自動の切り替えは、トップページだけにしました。検索から英語のページに来た人を、勝手に別の言語へ飛ばさないためです。
- 検索エンジンには、いつも日本語版を正式なページとして見せる。あわせて、各ページに「この内容のほかの言語版はここ」という目印(hreflang)を入れ、言語ごとに正しく検索に出るようにします。
- 一度、自分で言語を選んだ人には、次からは自動で切り替えない。
5. 中国語は「誰に向けて書くか」を先に決める
中国語には、中国本土で使う簡体字と、台湾・香港などで使う繁体字があります。今回は中国本土の方向けに簡体字と決め、通貨の書き方(日本円は「日元」)なども合わせました。
また、中国語の文章は、公開する前に中国語を母語とする方に確認してもらうことを約束にしました。会社案内やプライバシーポリシー、取引条件のように、誤解されると困るページは特にです。AIで訳した文章は、それらしく読めても、細かい言い回しや業界の言葉が正しいとは限りません。
機械翻訳で気づいたこと
このお客様のサイトは、もともとWordPressの翻訳プラグインで、日本語のページを自動で翻訳していました。最終的にも今のWordPressを生かす形になったので、今回作った3言語の原稿は、自動翻訳の文章を正しい訳に置き換えるための「元」として使っています。
自動翻訳の文章を見比べると、次のような弱点がありました。
- 立場がずれる:「お困りではありませんか」のような呼びかけが、自分たちの悩みを話しているような文になる
- 固有名詞が別の名前になる:商品名や人名が音だけで訳され、元とは違う名前として表示される
- 同じ言葉の訳が、ページごとにばらばらになる(社名の英語表記など)
特に社名や商品名は、最初に正式な表記を決めて、全部のページでそろえるのがおすすめです。今回も、英語の正式な社名を1つに決めて、すべてのページと問い合わせの自動返信メールまで統一しました。
まとめ
多言語のホームページでいちばん大事なのは、翻訳の上手さより先に、「直したら、全部の言語に反映される」仕組みにしておくことだと感じています。
- 原稿は1か所に、3つの言語を並べて書く
- ページは原稿からまとめて作り、言語ごとの欠けをなくす
- 翻訳漏れやリンク切れは、作るたびに自動で調べる
- 中国語などは、公開前に母語の方の確認を受ける
ワイズ企画では、英語・中国語に対応したホームページの制作や、今あるサイトの多言語化のお手伝いをしています。「英語のページはあるけれど、ずっと直していない」という方も、お気軽にご相談ください。

